人と環境の交互作用
システム理論
問1. サイバネティックスとは、システムが他の干渉を受けずに自己を変化させようとする仕組みである。
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✖ サイバネティックスとは、情報の通信と制御の観点から、人間、生物、機械、社会などの機構を統一的に解明しようとする考え方。
問2.システム理論に基づく相談援助の対象は、人と環境との全体的視座から把握される。
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〇 設問とおり。システム理論は人と環境との全体的視座から把握される。
問3.システム理論に基づくソーシャルワーク実践においては、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークの主要三方法を統合する視座を示した。
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〇 システムとは、そのシステムを構成する諸要素の相互作用によってその機能を維持していると理解されている。ソーシャルワーク実践において個人、グループそして地域(社会)をシステムとしてとらえる、という考えの基盤となっている理論がシステム理論である。
問4.システム理論に基づくソーシャルワーク実践においては、システムの中心を個人とみなし、個人の変化に焦点化する方法を示した。
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✖ 個人はシステムを構成する諸要素の1つではあるが、システム理論において「個人をシステムの中心とする」とはされていない。
問5.システム理論に基づくソーシャルワーク実践においては、クライエントの自己への評価の低さに伴う否定的な感情に注目する視座を示した。
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✖ システム理論は、クライアントの自己評価の低さから生ずる否定的感情に限定して注目してはいない。
問6.システム理論に基づくソーシャルワーク実践においては、現実は社会的に構成されるという見方を示した。
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✖ 現実は社会的に構成されるという考えは、ホワイトとエプスインによって提唱されたナラティブアプローチの基盤となったフーコーによる社会構成主義の考えである。
問7.システム理論に基づくソーシャルワーク実践においては、精神の力動性に着目し、パーソナリティの変容を目指す視座を示した。
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✖ 設問はケースワークの定義と考えられる。
問8.ケンプらによる「人ー環境のソーシャルワーク実践」では、環境を「知覚された環境」、「自然的・人工的・物理的環境」など5種に分類した。
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〇 ケンプらは環境を「知覚された環境」「自然的・人工的・物理的環境」「社会的・相互作用的環境」「制度的・組織的環境」「社会的・政治的・文化的環境」の5種に分類した。
問9.ケンプらによる「人ー環境のソーシャルワーク実践」では、ソーシャルネットワークの活用に対し、一定の制限を加えた。
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✖ 「人ー環境のソーシャルワーク実践」の内容として、「ソーシャルネットワークの動員」をあげている。
問10.ケンプらによる「人ー環境のソーシャルワーク実践」では、クライエント自身のアセスメントよりもクライエントの環境を強調した。
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〇 「人ー環境のソーシャルワーク実践」の内容として、「多面的な考察をしながら個人的なソーシャルネットワークの動員を特に強調し、環境における活発なアセスメント、契約、介入よってこの目標を達成する」としている。
問11.人と環境の関りを重視したソーシャルワーク実践では、クライエントが抱えている問題の原因となっている環境要因を排除することで、問題解決を試みる。
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✖ 「人と環境の相互作用」という視点から考えて、支援の焦点を環境のみにあてるのは援助としては妥当ではない。
問12.ピンカスにらによるチェンジ・エージェント・システムは、ソーシャルワーカーが所属している機関を指す。
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〇 設問のとおり。設問がワーカーと連携し、問題解決のために援助活動に参加するほかの機関(社会資源)であれば、アクション・システムと呼ぶ。
問13.ピンカスにらによるターゲット・システムは、変革努力の目標達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々を指す。
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〇 設問のとおり。変革努力の目標達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々をターゲット・システムと呼ぶ。
問14.ピンカスにらによるチェンジ・エージェント・システムは、目標達成のために、ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
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✖ 設問は、アクションシステムに関する記述
相談援助の対象
問15.相談援助における対象の把握方法について、グループ全体の変化の過程については、援助者に対するグループメンバーそれぞれの反応がどのように変化したかによって把握する。
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✖ グループメンバー間の反応がどのように変化したかについても把握する必要がある。
岡村重夫の一般的機能
問16.岡村重夫は、調整的機能は、専門職間で生じている不調和の解決を図るために発揮されるとした。
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✖ 調節的機能とは、専門職間の不調和の解決ではなく、地域にある関係機関、組織等の連絡調整機能をさしている。
問17.岡村重夫は、送致的機能は、援助者の所属機関が対象者の主訴に対処できないとき、適切な機関に対象者を紹介するために発揮されるとした。
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✖ 送致的機能とは、対象者の欠損した社会関係を回復させたり、新たな社会関係を見出すように援助する機能。
問18.岡村重夫は、開発的機能は、個人の社会関係能力条件を開発するために発揮されるとした。
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〇 開発的機能とは、個人の社会関係能力条件や新しい生活目標と生活態度を発展させるように援助する機能。
問19.岡村重夫は、保護的機能は、個人が必要とする保護を一時的に提供するために発揮されるとした。
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〇 保護的機能とは、社会関係の維持・修復の機能によっても、対象者の生活困難を居宅あるいは地域社会で解決できない場合に、一時的にそれらが解決できるまでの間、保護施設等でサービスを提供する機能のことをいう。
様々な実践モデルとアプローチ
治療モデル
問20.グループワークを体系化したのは、コノプカである。
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〇 グループワークの体系化に寄与した人物としては、コノプカやコイル、トレッカーなどがあげられる。
生活モデル
問21.生活モデルを提唱したのは、ピンカスとミナハンである。
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✖ 生活モデルを提唱したのは、ジャーメインである。
ストレングスモデル
問22.リードとエプスタインは、課題中心アプローチにおいてストレングスを中心に位置づけ、援助を短期間で計画的に実行することを重要視した。
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✖ 課題中心アプローチはリードとエプスタインによるものであるが、その特徴として、短期処遇、問題解決されたされた導きを通じての社会的機能の改善等があげられる。クライアントのストレングスを中心に位置づけてはいない。
問23.ラップとゴスチャは、ストレングスモデルの原則の一つとして、地域を資源のオアシスとしてとらえることを挙げている。
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〇 設問とおり。1980年代後半から提唱されたストレングスモデルでは、ソーシャルワーカーがクライアントやその外部環境のもつ「強さ」や「能力」に焦点をあてる。
心理社会アプローチ
問24.ホリスが示した心理社会的アプローチの介入技法によると「福祉事務所の相談窓口に行って話を聞くといいですよ」とアドバイスするのは、発達的な反省である。
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✖ 直接的指示に関する記述。発達的な反省とは、クライアントの現在の状況や行動に関係すると思われる家族関係や幼少期の経験などについての発生的・発達的要因について反省的な話し合いのことをいう。
問25.ホリスが示した心理社会的アプローチの介入技法によると「うんうん、なるほど、そうだったんですね」とうなずきながら話を聞くのは、持続的指示である。
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〇 持続的指示とは、ワーカーがクライアントに対して関心と理解を示し、クライアントを信頼し受容することにより、クライアントを支持しようとするコミュニケーションである。
問26.ホリスが示した心理社会的アプローチの介入技法によると「教室に入ろうとすると、友達の視線が気になってつらくなり入れなくなるのですね」という言葉かけは、浄化法である。
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✖ 人と状況の全体的反省に関する記述。浄化法とは、クライアントの抱えている状況を探索し、それに関する事実をワーカーが描写することによりクライアントの状況に関する事実の認識を引き出し、状況についての感情を解放する方法である。
問27.ホリスが示した心理社会的アプローチの介入技法によると「子どもにきつく当たってしまうということですが、あなたが子供のこ頃のお母さんとの関係はどうでしたか」と聞くのは、パターン力動的反省である。
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✖ 発達的反省に関する記述。パターン力動的反省とは、クライアントの行動傾向や出来事に対する反応や行動を生み出す思考や感情パターンについて明確にする反省的な話合いのことをいう。
機能的アプローチ
問28.機能的アプローチは、自我心理学を導入したもので、人は意志を持っていると考えた。
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〇 設問とおり。「人は意志を持っている」と考えたのは、ランクの自我心理学を取り入れた機能的アプローチである。
問29.機能的アプローチは、クライエントのニーズを援助機関の機能との関係で明確化し、その機能を個別化して提供することに焦点を当てる。
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〇 機能的アプローチは、クライエントのニーズを相談援助する「機関の機能」との関係で明確化し、クライエントのニーズに適した形で利用できるように機関の機能を個別化・具体化して提供・支援を展開する。
問題解決アプローチ
問30.問題解決アプローチでは、社会生活機能訓練(SST)の技法を用いる。
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✖ 問題解決アプローチでは、社会生活機能訓練(SST)の技法は用いられていない。SSTが用いられるのは、トーマスによって提唱された行動変容アプローチである。
問31.問題解決アプローチでは、例外探しの技法を用いる。
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✖ 例外探しの技法が用いられているのは、ナラティブアプローチである。
課題中心アプローチ
問32.課題中心アプローチは、プラグマティズムの影響を受けている。
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〇 課題中心アプローチは、心理社会的アプローチや問題解決アプローチ、行動変容アプローチの影響を受けており、折衷アプローチといわれる。優れて計画的な実践を志向する点は、プラグマティズムの影響を受けているといえる。
問33.課題中心アプローチは、精神分析的な方法を用いて、クライエントのアセスメントをする。
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✖ 課題中心アプローチのアセスメントは、主に行動変容アプローチ等の影響がみられる。
危機介入アプローチ
問34.危機介入は、リンデマンによる悲嘆に関する研究を起源とする。
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〇 危機介入アプローチはリンデマンの死別による急性悲嘆反応の研究や、キャプランによる地域予防精神医学の研究を起源としている。
行動変容アプローチ
問35.エリクソンの心理社会的発達理論は、行動変容アプローチに大きな影響を及ぼした。
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✖ エリクソンの心理社会的発達理論は、危機介入アプローチに影響を及ぼした理論。
問36.フロイトの精神分析理論は行動変容アプローチに大きな影響を及ぼした。
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✖ フロイトの精神分析理論は心理社会的アプローチに影響を与えた理論。
問37.スキナーの学習理論は、行動変容アプローチに大きな影響を及ぼした。
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〇 行動変容アプローチは、スキナーの学習理論の影響を受けている。他に、パブロフの古典的条件づけやバンニューラの社会学習理論などからも影響を受けた。
問38.バンニューラの社会学習理論は、行動変容アプローチに大きな影響を及ぼした。
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〇 設問とおり。
その他のアプローチ
問39.ナラティブアプローチは、ヒューマンシステムを言語システムとして捉える。
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〇 ヒューマンシステムを「関係性」、言語システムを「関係性から生じる語り」と捉える。
問40.解決志向アプローチは、問題の原因の追求よりも、クライアントのリソース(能力、強さ、可能性)を活用することを重視する。
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〇 解決志向アプローチは、問題の原因を「振り返る」のではなくクライエントの視点や考えを未来に向けるアプローチであり、クライエントリソースを活用して援助が展開される。
問41.解決志向アプローチは、対話を、専門家ネットワークと個人的ネットワークの間に生まれるものである。
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✖ 対話はあくまで、クライエントとワーカーの関係性におけるものと考えられる。
問42.解決志向アプローチは、個人と環境の継続的な相互作用により、無力化が起こると考える。
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✖ 社会構成主義を基盤とするナラティブアプローチにおける考えである。
問43.解決志向アプローチにおいては、クライエントが、自分の人生を描き出す対話のパートナーとなる。
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✖ 視点や思考を問題が解決された後の状況に移行していく過程において、クライエントは自分の人生を描く作業を行う。その過程において、ワーカーはクライエントから教わるという無知の姿勢で関わる。この関りにおいて対話という概念は存在しないと考えるべきである。
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