「まさか疥癬だったなんて…」情報共有の遅れが招いた出来事

生活・社会

介護の現場では、「もっと早く分かっていれば…」と思う場面が少なくありません。

今回経験した出来事も、その一つでした。

ある利用者さんが突然、全身の腫れや赤み、熱感を訴え始めました。

最初は内科を受診し、その後皮膚科にもかかりましたが、原因は分かりません。

「何か内臓の病気ではないか。」

そんな見立てもあり、原因はなかなか判明しませんでした。

総合病院で判明した「重度疥癬」

紹介先の総合病院で診断された病名は、重度疥癬

医師からも「非常に珍しいケースです」と説明があったそうです。

しかも、その頃には全身が大きく腫れ上がり、一時は歩くことさえ困難な状態になっていました。

さらに病状は悪化し、全身の皮膚に炎症が広がる紅皮症も併発。

疥癬を治療すると紅皮症が悪化する可能性があり、紅皮症を優先すると疥癬の治療が難しくなるという、とても難しい状況だったそうです。

家族全員が感染

診断がつくまで時間がかかったため、ご家族は通常どおり介護を続けていました。

帰省して介助を行ったご家族もおられましたが、その時点ではまだ疥癬とは分かっていません。

結果として、ご家族全員が感染してしまいました。

その後は治療と感染対策を徹底。

洗濯方法や生活環境を工夫しながら、ご家族一丸となって乗り越え、ようやく症状は落ち着いていきました。

後から分かった事実

その後の担当者会議で、一つの事実が分かりました。

利用者さんが通っていた事業所以外で、同じ利用者が利用していた別のデイサービスでも、疥癬の発症者が出ていたというのです。

そして、その後さらに同じ事業所で新たな疥癬患者が確認されたことも分かりました。

もちろん感染経路を断定することはできません。

しかし、ご本人は外出する機会がほとんどなく、定期的な外出はデイサービスの利用が中心でした。

そのため、ご家族は感染との関連を疑い、不安を抱くようになりました。

「責任を追及したいわけではありません。ただ、この経験があった以上、怖くて同じデイサービスには戻せません。」

ご家族はそう話されました。

誰が悪いという話ではない

感染症は、どこの施設でも起こり得ます。

だからこそ重要なのは、発生したことではなく、その情報をどれだけ早く関係者へ共有できるかです。

もし「疥癬の疑いがある利用者がいる」という情報が早い段階で共有されていたら…。

医療機関も早く疥癬を疑うことができたかもしれません。

本人の重症化や、ご家族への感染を防げた可能性もあったかもしれません。

もちろん、「必ず防げた」とは言えません。

それでも、情報共有には利用者さんを守る大きな力があります。

ケアマネジャーとして改めて感じたこと

ケアマネジャーは病気を診断する仕事ではありません。

しかし、医療・介護・家族をつなぐ役割があります。

今回の出来事を通して改めて感じたのは、一つの情報が利用者さんの人生や家族の生活を大きく左右することがあるということです。

「まだ確定していないから伝えない。」

ではなく、

「確定ではないけれど、こんな状況があります。」

この一言が、早期診断や感染拡大防止につながることがあります。

介護は一人ではできません。

医療、介護、家族、それぞれが持っている情報を少しずつ共有することで、利用者さんを守ることができます。

今回の出来事は、とてもつらい経験でした。

だからこそ、この経験を次に生かし、同じような思いをする利用者さんやご家族が一人でも減ることを願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました