障害の概要
高次脳機能障害の原因・・・外傷性脳損傷、他には脳血管障害や低酸素脳症など。
内部障害・・・体の内部臓器に関わる障害、咀嚼・嚥下機能の障害、白血病による免疫機能障害は含まれない。
平衡機能障害・・・下肢筋力低下だけが原因ではない。小脳の萎縮なども考えられる。
吐血(とけつ)・・・食道や胃から口腔(こうくう)を経て血液を排出すること
声帯の障害と誤飲との関係はなし。
精神疾患
統合失調症
思春期から青年期に発症することが多い。
陽性症状:幻覚(幻聴が多い)、妄想、まとまりのない発語と行動
陰性症状:感情平板化(喜怒哀楽が乏しくなる)、意欲低下等
※同じ症状が6か月以上続くことが診断には必要。
気分障害
うつ病・・・抑うつ気分、興味、喜びの著しい減退、不眠、過眠
躁病・・・高揚、開放的、易怒的、観念奔逸、多弁、注意散漫。
恐怖性障害
パニック発作を起こすこともある。
広場恐怖・・・公共の場、人ごみ、乗り物
社会(社交)恐怖・・・特定の社会的状況を恐れる。対人恐怖症、赤面恐怖、自己臭恐怖等
摂食障害
思春期の女性に多い。
神経性無食欲症・・・体重の極端な減少。低栄養状態、無月経症等。
神経性過食・・・発作的過食、嘔吐、下剤使用等。
「神経性やせ型/神経性無食欲症」・・・ストレスがはっきりしていない。体重が標準以下、体重増加や肥満に恐怖がある。反動で過食性障害がある人もいる。過食または排出行動の反復的なエピソードがある。
不安障害
全般性不安障害・・・動揺的で慢性化しやすい
パニック障害・・・発作に対する予期不安が特徴的。
PTSD・・・心的外傷後ストレス障害。フラッシュバック、不眠、うつ。
その他
境界性パーソナリティ障害・・・対人関係、自己像、感情など不安定性及び著しい衝動性を示す
解離性(転換性)障害・・・ストレスが精神症状に現れたもの。
知的障害・・・①IQ70未満 ➁低い社会適応能力 ③18歳未満に現れる知能障害
原因には、先天性異常、染色体異常、先天性甲状腺低下症等がある。
自閉スペクトラム症・・・先天的脳の機能障害、社会的コミュニケーションの障害や、限定、反復された行動などが特徴。男性に多い。通常3歳以前に出現する。
注意欠如・多動症(AD/HD)・・・不注意、多動、衝動性
限局性学習症(LD)・・・全般的知的発達に遅れはないが、特定の分野が全く習得できない。読字障害、算数障害、書字表出障害などがある。
診断基準
DSM-5「精神疾患の診断・統計マニュアル」→アメリカ精神医学会が発行している「精神疾患の診断・統計マニュアル」の第5版
特徴:操作的診断基準によって診断する。自閉スペクトラム症、統合失調症スペクトラムなど重症度を判定するための『多元的診断』が導入された
ICD-10「精神および行動の障害」・・・世界保健機関(WHO)の設定した国際疾病分類の第10版
大脳の各部位の機能
言語に関わる重要な脳部位には、言語の意味を理解するのに必須のウェルニッケ野と、発話や筆記などに深く関与するブローカ野がある。
運動性失語(ブローカ失語):「理解面」より「表出面」に低下がみられる失語、他人の話は理解するが、話そうとすると言葉にならない。
感覚性失語(ウェルニッケ失語):「表出面」より「理解面」に低下がみられる失語、他人が話すことを理解する事が難しい。
大脳
前頭葉:中心講から前の部分に運動野があり、対側の随意運動に関与。運動性言語中枢(ブローカー野)がある。意欲や意志に関与している。
頭頂葉:体性感覚野があり、対側の身体からの体性感覚(皮膚感覚、内臓感覚等)を受ける。視空間機能や遂行機能などの高次行為を行う
側頭葉:言語理解に関係する。感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)がある。本能、情動に関係する海馬が内側にある。
後頭葉:視覚野があり、対側の視覚からの情報処理に関わる。
間脳
視床:嗅覚以外のあらゆる感覚を大脳に伝える
視床下部:自律神経の中枢。体温、睡眠、性機能などの調整をする。
脳幹
中脳:身体の平衡、姿勢保持、視覚感覚などの中枢
橋:大脳や小脳などの中枢と末梢との神経線維の中継点
延髄:心拍数の調節、血管の収縮と拡張、呼吸の調整、嚥下や嘔吐等の反射等の中枢
小脳
運動を調節する
記憶
コルサコフ症候群は、ビタミンB1欠乏によって生じるウェルニッケ脳症の後遺症である。
多くの事項からなるリストを覚え、その直後に再生テストをしたときに、最初の方が再生が高まる現象を、初頭効果、最後の方の再生が高くなることを親近感効果という。最初と最後の再生率が高く途中が低くなるこれを系列位置効果という。
喉まで出かかる現象(TOT現象)は、ある程度検索出来ているが、再生ができていない状態である。
幼児性健忘とは、生後3歳頃以前の出来事が思い出せない現象である。
レミニセンスは、学習直後よりも一定時間経過した後の方が再生が優れる現象。なお、私たちが日常的に覚える意味のある言葉や事柄など有意味材料の場合は、数日程度後の方が再生が良い事がありこれをバラード・ウィリアムズ現象という。
記憶の種類
作動(作業)記憶(ワーキングメモリー):短い時間、あることを記憶にとどめておくのと同時に「認知的作業」を頭の中で行う記憶。
長期記憶
〇陳述記憶
エピソード記憶:「旅行に行ったこと」など、ある特定の時間と場所での個人にまつわる出来事の記憶 自伝的記憶:自分自身についての記憶。
意味的記憶:都道府県の名前、人口、日付といった一般的な知識などについての記憶
〇非陳述記憶
プライミング記憶:日常の何気ない動作や行動などのように無意識に繰り返される記憶
手続き的記憶:「自転車の乗り方」など動作に関する身体的反応の記憶
展望的記憶
友人と会う約束の時間や場所など将来や未来に関する記憶
各器官の構造と機能
人間の体は様々な細胞、60兆個でできている。細胞が集まり、組織になり、さらに器官となる。
筋肉 骨格筋は、随意運動(コントロール)、平滑筋は、不随意運動(オート)
体液(60%) 2/3が細胞、1/3が血液
血液内の成分(たんぱく質など)は、一定に保たれる。これを人体の恒常性(ホメオスタシス)という。
細胞内の体液が10%低下すると脱水になり、不調がでてくる。
症状として、頻脈、血圧低下など、老廃物が蓄積し、腎不全、脳梗塞、心筋梗塞の危険性もある。
血液の成分
赤血球・・・酸素のやりとり。成分は、ヘモグロビン
白血球・・・免疫細胞
血小板・・・血液凝固
血漿・・・90%は、水 そこにナトリウムや、たんぱく質などが、10%溶けている。
繊維素原(フェブリノゲン) 血液凝固の働きがある。
これらは、骨内部、骨髄で作られる。
循環器系
心臓、肺、血管、血液
血管:動脈:心臓から送り出される血液が通る血管
静脈:心臓に戻る血液が通る血管
弁:僧帽弁:左の心房と心室の間にある弁
三尖弁:右の心房と心室の間にある弁
冠状動脈:心筋に酸素を供給する動脈、大動脈起始部より分岐する。
右肺は3つの肺葉からなり、左肺は2つの肺葉からなっています。
体循環: 左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房
肺循環: 右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房
脈拍 60~80正常値
血圧 上が140以下、下が90以下が正常値
個人差あり。
泌尿器
腎臓、尿管、膀胱、尿道、尿道口までの総称
ソラマメの形をした腎臓・・・血液の清掃業者、濾過システム、体内のバランスを保つ
呼吸器
鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺胞の辺り
喉頭蓋・・・気管にものがはいるのを防ぐ、高齢になると、機能が低下し誤嚥性肺炎を起こすことがある。
右気管支の方が垂直に近いので、肺炎を起こしやすい。
気管は食道の前に位置している。
肺は、左に二つ、右に三つの肺葉に別れる。その下に横隔膜があり、その間にある、密封空間を胸腔という。横隔膜は、呼吸に関わる。
外の空気でのガス交換を外呼吸
血液との間のガス交換を内呼吸という。
消化器
口腔、食道、胃、腸、肛門
唾液(アミラーゼ)→胃で食べたものを一時的に蓄え消化(ペプシン、塩酸)→空腸、十二指腸(胆汁、膵液)、回腸を小腸という。→盲腸、結腸、直腸を総称して大腸という。→糞便
肝臓(胆汁)、膵臓(グルカゴン、インスリン)
小腸の2枚看板、90%は小腸で消化・吸収される。小腸は水分吸収、約95%占めている。
神経系
中枢(脳、脊髄)、末梢(脳、脊髄からでている神経)
大脳半球・・・人間では他の動物よりも良く発達、生後に他の臓器と比べ最も遅く発達。
間脳・・・自律神経の最高中枢 体温、体液、ホルモンのバランスコントロール。
脳幹・・・中脳が反射の中枢、橋があり、延髄は、呼吸、心拍、血圧、嚥下等の中枢
小脳・・・運動の微調整
側頭葉・・・言語、聴覚、記憶に関わる
後頭葉・・・視覚に関わる
大脳辺縁系:偏桃体や海馬・・・情動や記憶形成に重要。
脊髄・・・頚神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対で、脊髄神経31対プラス脳神経12対からなっているのが末梢神経である。
三半規管
三半規管は内耳にあり、聴覚や平衡感覚に関係する
内分泌器官
視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓、副腎、腎臓、卵巣、精巣
内分泌・・・血管内にホルモンを排出
外分泌・・・体外に通じる消化菅に排出
下垂体・・・甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、成長ホルモン等
副甲状腺・・・副甲状腺ホルモン、カルシウム、リン、重炭酸イオンの代謝
甲状腺・・・身体代謝を促す、甲状腺ホルモン
膵臓・・・インスリン、グルカゴン
副腎・・・交感神経に働きかけるアドレナリン、ノルアドレナリン
ナトリウムとカリウムの調節を司るアルドステロン
卵巣、精巣・・・性ホルモン エストロゲンの低下は、骨粗鬆の原因になっている。
支持運動器官
骨、軟骨、関節、靭帯と筋肉
骨の役割 1.人体を支持する 2.骨と骨は関節で連結し、運動を可能にする 3.内臓を保護する 4.骨髄で造血する 5.カルシウムやリンの貯蔵庫になる。
骨の内部に骨髄があり、造血している。
筋肉は、収縮と弛緩によって運動を可能にする。
骨格筋・・・意識的に骨を動かす
心筋・・・心臓の筋肉
平滑筋・・・自律神経に支配される不随意筋
感覚器・・・視覚、聴覚、平衡感覚、嗅覚、触覚
交感神経と副交感神経
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれて正反対の働きをする。
交感神経・・・身体を活動的な状態にする。
ノルアドレナリンを分泌、運動、精神的興奮、緊張した時に働きが高まる。
心臓は高鳴り、息は荒く、毛は逆立ち、あせが噴き出す。
瞳孔が開き、のどが渇く。
消化している余裕がなく、空腹を感じたり、排泄の刺激を受けにくい状態。
副交感神経・・・のんびりリラックスした時や睡眠中に働く。
心臓はゆっくり、息もゆったり、血圧は下がり、毛は寝て、汗も出ず、瞳孔は収縮する。
一方、消化を活発にし、消化管の運動、消化液の分泌は促進される。
認知症
アルツハイマー型認知症・・・脳萎縮、女性に多い、人格の変化(まれに)、徘徊、多動、全般的認知症
血管性認知症・・・脳血管障害を伴う、男性に多い、記憶力は低下しているが判断力や専門知識には異常が見られない人格は保たれる、情動失禁、まだら認知症
レビー小体型認知症・・・レビー小体が大脳皮質にでき、神経細胞を障害、パーキンソン症状、幻視や妄想、うつ症状、睡眠時の異常行動、日内変動あり。※日本人の小坂憲司らが提唱した。異常タンパク質が大脳皮質や脳幹に蓄積する。
前頭側頭型認知症(ピック病等)・・・帯同行動(同じ言動や行動を繰り返す)、性格の変化、異常行動、他人への興味や罪悪感、身だしなみへのこだわりがなくなる。別名:ピック病、若年性認知症
慢性硬膜下血腫・・・頭部外傷が原因が多い
正常圧水頭症・・・脳室拡大、認知症、歩行障害、尿失禁
クロイツフェルト・ヤコブ病・・・プリオン蛋白が蓄積
感染症
結核・・・結核菌によって発生。空気感染、咳、痰、発熱、呼吸困難等。
後天性免疫不全症候群(AIDS)・・・日和見感染症、悪性腫瘍の発生、性的接触、母子感染、血液によるもの
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)・・・多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症、日和見感染し腸炎、敗血症、肺炎などきたす。接触感染、飛沫感染。
腸管出血性大腸菌感染症・・・O157、ベロ毒素を産生する大腸菌による感染症。経口感染。
疥癬・・・疥癬虫(ビゼンダニ)皮膚寄生虫感染症。衣服など介して感染。
デング熱・・・蚊によって媒介、デングウイルスの感染症。
ノロウイルス感染症・・・食中毒、感染性胃腸炎は冬に流行することが多い。、次亜塩素酸ナトリウムで拭くか、煮沸消毒が有効。
日和見感染症・・・健常人には感染しないような病弱微生物による感染症。ニューモシスチス肺炎、MRSA、カンジタ症、サイトメガロウイルス感染症など。
A型肝炎・・・経口感染が主、ワクチンあり
B型肝炎・・・血液、体液を介して感染、ワクチンあり
C型肝炎・・・血液、体液を介して感染、肝がんへ進行することが多い。ワクチンは実用化されていない。
日本における健康施策
健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)
『21世紀における国民健康づくり運動』(健康日本21)平成12年度開始し、24年まで実施(第一次)
2013年4月からは、新たに健康日本21(第2次)が進められている。
健康日本21とは21世紀における日本に住む一人一人の健康を実現する国民健康づくり運動
壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸
生活習慣病、メタボの減少、メンタルヘルス、ロコモティブシンドローム(運動器の機能低下)
BMI=体重(Kg)÷ 身長 ÷ 身長
健康増進法
目的:国民の健康増進、国民保健の向上
健康推進計画・・・都道府県は都道府県健康増進計画を定める(義務)
市町村は、市町村健康増進計画を定めるよう努める。
国民健康・栄養調査・・・厚生労働大臣は、国民健康・栄養調査を行う。
保健指導等・・・市町村は栄養改善、生活習慣の改善に関して相談・保健指導を実施。
健康増進事業の実施・・・歯周疾患検診、骨粗鬆症健診、肝炎ウイルス健診、「特定健康診査日対象者」に対する健康診査、保健指導、がん検診などの事業を実施する。
受動喫煙禁止・・・2020年4月改正。都道府県知事は、違反者に対して、喫煙中止または特定施設の喫煙禁止場所からの退出を命ずることができる。
特定健康検査
特定健康診査(義務)・・・40歳以上75歳未満(医療保険加入者)、医療保険者
健康診査(努力義務)・・・75歳以上(後期高齢者医療被保険者)、後期高齢者医療広域連合
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高齢者の医療の確保に関する法律
目的:メタボリックシンドローム(腹囲:男性85㎝以上、女性90㎝以上)
①高血糖 110㎎/㎗ ➁高血圧 140以上、90以下 ③脂肪異常150㎎/㎗以上 HDL40㎎/㎗未満
特定健診・特定保健指導:生活習慣病の予防のために行う。
実施状況:約2858万人 メタボ 男性620万 > 女性153万
健康診査(特定健診)・・・2008年4月から保険者(国民健康保険・被保険者) に対して、40歳以上の加入者を対象とする内臓脂肪型肥満に着目した健康診査(メタボ健診)および特定健診の結果により健康の保持に努める必要がある者に対する保健指導(特定保健指導)の実施が義務づけられた。
特定保健指導・・・生活習慣改善のためのアドバイスをする。
WHO憲章
健康の定義:健康とは肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に病弱に存在しない事ではない。
アルマ・アタ宣言
〇プライマリヘルスケアの重要性が示された最初の国際宣言
〇先進国と発展途上国間における人々の健康状態の不平等について言及している。
プライマリーヘルスケア
実践的で、科学的に有効で、社会に受容されうる手段と技術に基づいた、欠くことのできないヘルスケアのこと。
ヘルスプロモーション
〇WHO(世界保健機関)が1986年のオワタ憲章で提唱
ヘルスプロモーション
人々が自らの健康と決定要因をコントロールし、改善することが出来るようにするプロセスの事。
①健康な公共政策作り ➁健康を支援する環境づくり ③地域活動の強化 ④個人技術の開発 ⑤ヘルスサービスの方向転換
ヘルシンキ宣言とは世界医師会による人体実験に関する論理的原則を決めたもの。
まとめ・・・
肺循環と体循環の部分が非常に理解しにくいので、ほかの記事も読んで理解を深めてくださいね。
合格に向けて地道に頑張りましょう。
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