社会保険制度の概要
①年金保険
種類:国民年金、厚生年金 保険者: 国
被保険者:20歳以上60歳未満、被用者
保険事故:老齢、障害、死亡
保険給付:老齢年金、障害年金、遺族年金
➁医療保険
種類:①国民健康保険 ➁被用者保険 ③後期高齢者医療
保険者:①都道府県、市町村、国民健康保険組合 ➁全国健康保険協会、健康保険組合、共済組合等 ③後期高齢者医療広域連合
被保険者:①自営業者など ➁被用者(被扶養者)③75歳以上
保険事故:疾病、負傷
保険給付:療養の給付、高額療養費、訪問看護療養費など
③労災保険
種類: 保険者: 国
被保険者:労働者
保険事故:業務災害、通勤災害
保険給付:療養(補償)給付、障害(補償)年金、介護(補償)給付など
④雇用保険
種類: 保険者: 国
被保険者:労働者
保険事故:失業など
保険給付:求職者給付、就職促進給付、雇用継続給付など
⑤介護保険
種類: 保険者: 市町村
被保険者:市町村に住所を有する40歳以上の人
保険事故:要支援状態、要介護状態
保険給付:介護給付、予防給付、市町村特別給付
⇕ 補完
民間保険の概要:民間企業などが運営、社会保険制度を補完
第1分野(生命保険):死亡保険、生存保険、養老保険など
第2分野(損害保険):地震保険、自動車保険、損害保険など
第3分野(医療保険・介護保険等):医療保険、介護保険、がん保険など
社会保障の概要
社会保障の4本柱・・・自助、互助(ボランティア等)、共助(介護保険制度、社会保障制度)、公助(生活保護などの公の負担)
社会保障の4つの機能・・・社会的セーフティーネット(社会的安全装置)、所得再配分(格差縮小)、リスク分散(社会全体)、社会安定、経済安定、成長(景気変動緩和、雇用創出)
社会保険(保険料が中心)・・・年金、医療、雇用、労災、介護
社会扶助(租税が中心)・・・老人福祉、障害者福祉、児童福祉、母子父子寡婦福祉、公的扶助(生活保護)、社会手当
↓
社会保障制度
社会福祉の法体系
児童福祉法:昭和22年
定めている事項:「児童福祉施設」「児童相談所」「児童福祉司」「児童委員」「保育士」など
身体障害者福祉法:昭和24年
定めている事項:「更生援護」「身体障害者更生相談所」「身体障害者福祉司」「身体障害者社会参加支援施設」など
生活保護法:昭和25年
定めている事項:「保護の種類」「保護の方法」「保護施設」など
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知的障害者福祉法:昭和35年
定めている事項:「更生援護」「知的障害者更生相談所」「知的障害者福祉司」など
老人福祉法:昭和38年
定めている事項:「老人福祉施設」「福祉の措置」「老人福祉計画」「有料老人ホーム」など
母子及び父子並びに寡婦福祉法:昭和39年
定めている事項:「福祉の措置」「母子福祉施設」「福祉資金貸付」など
⇓
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律:昭和25年
定めている事項:「精神保健福祉センター」「措置入院・医療保護入院等」「精神保健福祉手帳」など
社会福祉法:昭和26年
定めている事項:「福祉事務所」「社会福祉主事」「社会福祉法人」「社会福祉事業」「福祉サービスの適切な利用」など
発達障害者支援法:平成16年
定めている事項:「発達障害の早期発見」「発達障害者の支援」「発達障害者支援センター」など
障害者総合支援法:平成17年
定めている事項:「自立支援給付」「地域生活支援事業」「補装具」「自立支援医療」「障害福祉計画」など
社会保障制度の変遷
昭和20年代は救貧がメイン→昭和30~40年代は防貧メイン→昭和50~60年は高度経済成長→平成以降は少子化問題、バブル経済崩壊と長期低迷。
社会保障の枠組み
狭義 ①社会保険 ➁公的扶助 ③社会福祉 ④公衆衛生及び医療 ⑤老人保健
広義 ①恩給 ➁戦争犠牲者援護
日本の社会保障制度について、租税を財源とした公的扶助ではなく、社会保険に重点を置くべきとした。
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社会保障制度審議会「1962年(昭和37年)の答申・勧告」
特徴:所得階層を分類。社会福祉対策を、「低所得階層に対する施策」として位置付けた。
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1981年の「難民条約」の批准に伴う法整備により、国民年金法、児童手当法、児童扶養手当法、「特別児童扶養手当法」から国籍要件が削除された。
「社会保障将来像委員会第1次報告」1993(平成5)年
特徴:国民の生活の安定が損なわれた場合に、公的責任で生活を支える給付を行うもの
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「21世紀福祉ビジョン」1994(平成6)年
定義:所得再配分と相互援助を基本とする仕組みである。(所得再配分つまり所得格差の縮小、現役世代から高齢世帯、高所得者から低所得者への再配分等。)
年金、医療、福祉等 5:4:1 → 5:3:2 の割合へ
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社会保障制度審議会「1995年(平成7年)の勧告」
特徴:国民の自立と連帯の考え、公的介護保険を基盤にすべきと提言された。
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「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013(平成25)年)
特徴: ①内閣に社会保障制度改革国民会議が設置 2013年8月報告書がとりまとめられた。
方向性:「1970年代モデル」から「21世紀(2025年)日本モデル」へ 切れ目なく全世代を対象とする。
4分野の改革: ①少子化対策 ➁医療 ③介護 ④年金
医療・福祉は 「病院完結型」→「地域完結型」 年金は、適用拡大
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ニッポン一億総活躍プラン(2016(平成28)年)
2016年6月 ニッポン一億総活躍プランが閣議決定された
特徴:全員参加型社会
①希望出生率 1.8 ➁介護離職ゼロ ③名目GDP600兆円(地方創生)
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サービス利用方式
措置制度
対象者に対し、負担能力に応じた費用徴収(応能負担)←所得調査が必要。
保護施設、養護老人ホーム、児童養護施設、婦人保護施設など。
利用契約制度
利用者が申請が必要。(措置には利用の申請権がない)
①介護保険は唯一の応益負担(受けた利益に応じて支払う)
➁自立支援給付 応能負担 障害者支援施設等。障害児入所施設の支給決定は都道府県等が行い、児童福祉法に基づき障害児入所給付費を支給。
③子どものための教育・保育給付 応能負担 保育所、認定こども園、地域型保育
④行政との契約 応能負担 助産施設、母子生活支援施設
⑤事業費補助 軽費老人ホーム、地域活動支援センター、聴覚障害者情報提供施設、点字図書館など。
年齢の定義
母子保健法の「新生児」出生後28日を経過しない乳児
児童福祉法・母子保健法「乳児」は1歳未満
児童福祉法・母子保健法「幼児」は1歳から小学校就学の始期
少年法の「犯罪少年」は14歳以上から20歳未満
児童手当法の支給対象、児童は15歳に達するに以後の最初の3月31日まで
児童福祉法の「児童」は、18歳未満
児童扶養手当法の「児童」は、18歳に達する以後最初の3/31までの者又は、20歳未満の一定の障害の状態にある者。
障害者総合支援法等では、障害者は18歳以上、障害児は18歳未満
民法の成年は20歳以上(2022年度より18歳以上)
少年法の成人は20歳以上、少年は20歳未満
高齢者医療確保法「特定健康診査」40歳以上に実施
介護保険法の「第2号被保険者」40歳以上65歳未満の医療保険加入者
国民年金法の「被保険者」は、20歳以上60歳未満
ケアハウス、老人クラブ、やシルバー人材センターは、60歳以上
高年齢者雇用安定法 「高年齢者」55歳以上
介護保険法の「第1号被保険者」65歳以上
老人福祉法に基づく措置は、原則65歳以上
高齢者虐待防止法の高齢者は、65歳以上
厚生年金は最大70歳未満まで加入できる。
後期高齢者医療制度 「被保険者」 75歳以上(65歳~75歳未満の一定の障害者も加入できる。)
雇用保険
雇用保険制度の保険者は政府(国)であり、強制保険制度である。
雇用保険の保険料は、事業主と労働者が折半して負担。
教育訓練受講給付金は、在職中であっても受給できる。
育児休業は父母それぞれ必要な被保険者期間を満たしていれば、父母両方とも育児休業給付金を受給することができる。
介護休業制度とは家族を介護するために一定期間休業を取れる制度。その補完的役割として、介護休業給付金がある。
被保険者が自己都合退職した場合でも、失業認定の手続きを行えば基本手当は支給される。
雇用継続給付には、育児休業給付及び介護給付、高年齢雇用継続給付がある。
教育訓練給付金について、被保険者資格を喪失した日(離職の翌日)から受講開始日が一年以内であれば支給可能
担当はハローワーク
雇用保険などの給付
雇用保険の基本手当を受給するには、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、31日以上引き続き雇用されることが見込まれること。平成29年1月より65歳以上も適用対象
パパ・ママ育休プラス・・・一般被保険者である父母が、同一の子について育児休業を取得する場合、それぞれ必要な被保険者期間を満たしていれば、両方の者が育児休業給付金を受給できる。1歳2か月の間に、1年間の育児休暇を取得する事ができる。
就業促進手当は、基本手当の支給残日数に応じて支給される。
求職者支援法による職業訓練受講給付金は、雇用保険被保険者でない者を対象としたもの
社会保険と民間保険
社会保険・・・保険料の額が一定。低所得者に対して減免がある。原則強制加入。
民間保険・・・所得や年齢によって負担額が決定。生命保険など民間保険の保険料が所得税の所得控除になる。任意で負担額を決める。
社会保障費用
国民所得に対して租税及び社会保障負担割合は2016年度42.8%
社会保障財源の構成比は公費負担が約33%、社会保険料が約48%と社会保険料の方が高くなっている。
社会保障財源に占める公費の割合は国庫負担が23.3%、公費負担が9.5%となっている。
後期高齢者医療制度の財源に占める後期高齢者支援金の割合は4割になっている。
社会保険制度の財源
健康保険の給付費に対する国庫補助はある。
老年基礎年金は1/2が国庫負担である。
労働者災害補償保険に要する費用は事業主の保険料で賄われている。
国の予算では、2018年度、社会保障関係費の80.0%が、年金医療介護保険給付費で占められている。年金が一番高い。
機能別で言うと高齢が47%、保健医療、31%、家族7%の順になっている。
社会保障財源の内訳は、社会保険料50%(被保険者26%、事業主捻出23%)、公費35%(国が24%)、残りは、積立金の運用収入等。
後期高齢者医療制度における公費負担の割合は、国:都道府県:市町村=4:1:1
介護保険法の介護給付費における公費負担の割合は、居宅介護サービスで国:地方自治体=1:1、施設介護サービスで国:地方自治体=2:3
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学生納付特例制度
親の所得は、関係なく利用ができる。
労働者災害補償保険
中小事業主、個人タクシー、大工などを営業している者は、第2種特別加入者として労災保険に加入が認められている。
通常利用する経路での事故ならば通勤災害による給付対象。
労災保険の保険料負担は事業者側が全額。
労災保険率は、厚生労働大臣が業種ごとに定める。
厚生年金保険の障害厚生年金が支給される場合、労災保険の障害補償年金は支給される。
担当は労働基準監督署
日本の社会保険制度と公的扶助制度の基本的な特質
公的扶助は救貧的な機能をもち、一方、社会保険は防貧的な機能を持つ。
公的扶助は個別の必要に応じて給付が行われる。(必要即応の原則)
社会保険の給付は、被保険者による申請が中心。
社会保険では、困窮の事実を問わず、原因に基づいて給付が行われる。
公的扶助の給付の前提条件に保険料の拠出はなく、保険料の拠出が前提条件となるのは社会保険。
世界の社会保障制度、福祉レジーム、概念
自由主義レジーム
代表国:アメリカ 福祉供給源:市場 小さな政府 選別主義(生活保護など)
保守主義レジーム
代表国:ドイツ、フランスなどヨーロッパ 福祉供給源:家族
社会民主主義レジーム
代表国:スウェーデン、デンマークなど北欧 福祉供給源:国家 大きな政府 普遍主義(資力関係なく均一給付)
日本は、自由主義レジームと保守主義レジーム双方の主要要素を均等に組み合わせている。
準市場(類似市場)
ラショニング(配給、割当)
市場メカニズムを用いずに、必要とする人々に供給するための方法
ブラッドショーの4つのニード
客観的ニード
①ノーマティブニード(規範的ニード):専門家や行政官などが存在を認めたもの
➁コンパラティブニード(比較ニード):他人と比較して、差を明らかにして導き出すニーズ
主観的ニード
③フェルト・ニード(感得されたニード):本人が必要性を自覚したニーズ
④エクスプレスト・ニード(表明されたニード):サービス利用を申し出たニーズ
T・H.マーシャルのシティズンシップの分類
①市民的権利(個人の自由のため必要な権利) ➁政治的権利(政治権力の行使に参加する権利) ③社会的権利(人間らしく生きるための権利)
OECDより良い暮らしイニシアチブ
経済協力開発機構(OECD)より良い暮らしを測定する枠組み 11項目で人々の経済状態と生活の質を分析
世界幸福度報告書
2012年開始、国際連合:一人当たりのGDP、社会的支援、健康寿命、人生選択の自由度、寛容さで分析
日本 2010-2012 43位 2014-2016 51位 2015-2017 54位
持続可能な開発目標(SDGs)
貧困に終止符を打ち、地球を保護する。2015年9月、国連サミットで決められた。国際社会共通目標。
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