貯蓄格差
871万円と1291万円
突然ですがこれが何を表した数字だかわかりますか
結論これは日本人の平均貯金額です
871万円は単身世帯、1291万円は2人以上世帯の平均です。
でも一方平均ではなく中央値つまり下から数えてちょうど真ん中の数字を見てみると次のようになります。
単身世帯の場合、中央値は100万円、2人以上世帯の場合、中央値は400万円平均と比べると金額がかなり小さくなりました。
そしてもっと言うと単身世帯の34.5%、2人以上世帯の23.1%は貯金ゼロです。これらから言えることは日本人の貯金格差はかなり深刻なレベルにあるということです。
お金を持っている人が平均を押し上げている一方、多数の人々はお金に余裕がありません。このブログではこの貯金格差の実態をより詳しく見ていくとともに、その上で私たちがどう現実と向き合って
対策すべきかを話していきます。
深刻化する貯蓄格差
それでは深刻化している日本人の貯金格差について見ていきますデータ元は令和4年家計金融行動に関する世論調査です。
この調査では年齢や収入などの属性別に貯金額、金融資産額が発表されています。はじめにざっくりとした傾向を把握するために全体として貯金額がどんな分布になっているかを示します。
まずは単身者世帯が貯金ゼロが3割以上100万円以下の人も、比較的多い一方、貯金1000万円以上の人も数多くいます。
続いて2人以上世帯が貯金ゼロの人が最も多いですが、2番目に多いのは貯金2000万円以上の人たち
です。そして単身世帯と同様、貯金数百万円の人は比較的少なくなっています・
つまり世帯を問わず貯金がない人ある人の二極化が進んでいるんですね
冒頭で挙げた中央値と平均値はこのような分布の結果として出たわけです。そう考えるとそんなに参考にはならないかもしれません。そして直近格差についてより詳しく考察するために年齢ごとの貯金分布を見てます。
単身世帯の20代は、働いている期間が短いこともあってか貯金が少ない人が圧倒的多数です。1000万円以上ある人は極めて少数派になっています。
30代になると貯金ゼロの割合が減り貯めている人が少し増えました。500万円1000万円貯めている人も出てきます。
40代ともなると1000万円以上貯めている人もかなり増えてきます。その一方で最も大きな層はやはり直近0~100万円以下のところにあります。
50代60代70代との年代においても貯金ゼロや100万円以下の人たちが、多数派です。しかし一方で貯金1000万円以上2000万円以上の人たちもどんどん増えています。
ちなみにこの傾向は2人以上世帯においても同じです。
20代30代40代50代60代70代世帯を問わず貯金格差は年齢を重ねるごとに増大していることがわかります。かつて日本は1億総中流と言われる国でした。大多数の国民が自分は中流であると考えており人々の間で格差は小さかったとされます。
平和の功罪
それが令和の今ではこのように中間層が少なくなりお金を持っているものを持っていないものに二極化しているんですね。ではなぜここまで貯蓄格差が広がっているのか確実に言えるのが平和が続いているからです。
貯金格差が広がっている理由はいろいろありますし、様々な社会的要因を指摘する声もあるでしょう。ただその前提には間違いなく平和があります。
アメリカの歴史学者オルターシャアイドルは石器時代から現代に至るまで平和が続くと格差が拡大することを発見しました。では何が格差を解消させるのかというと戦争、革命、国の崩壊、疫病の4つです。
このようなとてつもなくひどい出来事が起こるとゲームがリセットされて、金持ちから富が没収されます。結果としてみんなが平等になるわけですね。
日本においてもこの話がぴったり当てはまります。というのも戦前の日本って今以上に超格差社会だったと言われるんですね、それが敗戦によってGHQに占領され財閥解体や家族制度の廃止などが行われました。
富裕層には財産税が課されて最大90%もの資産を没収されました。このような経緯で国がリセットされ戦後の日本は1億総中流と言われるほど平等な社会になったわけです。
ただ2023年の今は戦後から80年近く経って、この間戦争や革命のような国がひっくり返るような破壊的な出来事は起こりませんでした。
資本主義の世の中でこれだけ平和な世界が続くと少しずつ平等でなくなるのって自然なことなんですね。アメリカとかもっとすごいですし、それではなぜ平和が続くと格差が広がるのか?
平和の功罪 2
まずは積み重ねの差が徐々に拡大するからです。これはものすごくシンプルな話です。例えば、月の収入が20万円のA君とB君がいたとします。A君は稼いだお金を全部使ってしまう。Bくんは月に1万円貯蓄に回し年利5%で運用すると仮定しましょう。
これが10年続くとどうなるかA君の資産は0円のままですがB君の資産は約150万円30年続くとB君の資産は約832万円、50年続くとB君の資産は約2670万円、80年続くとB君の資産は約1億2800万円になります。一方でA君の資産は当然ずっと0円です月に1万円とわずかな差がどんどん大きな差になるわけ
です。
もちろんこの話はかなり単純化したものです。でも前半で見たような貯金額が年齢とともに二極化していく背景の説明にはなるのかなと貯金の習慣がある人はどんどん資産額を増やす一方でお金を全部使ってしまう人は何歳になっても資産が作れない収入は同じくらいつまり平等であってもこのような現象が起こります。何もずるいことはなくても安定した資本主義の世の中で経済が成長していけばどんどん格差が拡大していくわけですね。
そして平和な世界が続けばこの積み重ねの差は世代を超えて継承されます。それが理由2つ目の相続です。資産がゼロのA君と資産が1億円のB君、A君の子孫は当然何も相続できません。
一方で、B君の子孫は1億円もの遺産を相続すると仮に相続人が2人であれば5000万円ずつです。つまり積み重ねの差が後世の貯金格差につながる側面もあるんです。
ここまで見てきたように現代のように平和な世界が続けば貯蓄の格差は自然に拡大します。その意味で格差自体を否定するのはあまり建設的ではないかもしれません。平等になるには1回世の中をぶっ壊さないといけないわけですからね。
またみんながずっと平等でいることを目指した国も30年ほど前に崩壊しました。では貯金格差を踏まえた上で私たちはどのように対応していくべきかこれからの日本でどう過ごすべきかこれを考えていきましょう!!
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