イギリスの社会保障における歴史
1601年 エリザべス救貧法:地域の教区ごとに救貧行政を実施した。
1722年 労役場テスト法 テストの為、労役場以外の救済を抑制した。貧民に対して労役場で働く遺志を確認する法律
1782年 ギルバート法 労役場以外の在宅での救済を認めた。
1795年 スピーナムランド制度 田原いている労働者や失業者を対象。最低生活水準を設定し、救貧税から手当として支給した。
1820年代 チャルマーズ.T 隣友運動 慈善組織協会(COS)の活動に影響を与えた。
1834年 新救貧法 マルサスの人口論の影響を受けて、劣等処遇の原則を採用した。院外救済の禁止:労働能力のある貧民の救済は労役場への収容が原則。全国を単一の教区にし、貧民救済の縮小を目的としている。『個人の努力不足で救済は逆効果になるとした。』
1869年 慈善組織協会(COS)「救済に値する人民」と「救済に値しない人民」に分けて、前者のみ慈善事業の対象とした。
1886年~1902年 ブース.Cのロンドン貧困調査 「ロンドン民衆の生活と労働」貧困線という概念を示した。
1899年~1901年 ラウントリー.S ヨーク市貧困調査 マーケット・バスケット方式で最低生活費を科学的に算出し、それを下回る者を「第一次貧困」「第二次貧困」と定義した。ライフサイクルの中で貧困は3回存在することを発見した。
1897年 ウェッブ.B「産業民主制論」 救貧法の廃止を主張し、国家が国民に対して保障する生活の最低水準をあらわした、「ナショナル・ミニアム」の考え方を初めて提唱。
老齢年金法(1908年)貧困高齢者に、資力調査を行い、70歳以上の人に年金支給していた。
1911年 国民保健法(社会保険が導入された) 健康保険と失業保険(世界初)からなるものとして創設された。
1942年 ベヴァリッジ報告:社会保険及び関連サービス。窮乏、疾病、無知、不潔、無為という5つの巨大悪への攻撃に対する社会保障政策を構想した。社会保障計画は、社会保険、国民扶助、任意保険という3つの方法で構成されるという考え方を示した。
1948年 国民扶助法、国民保健サービス 救貧法の長い歴史から新たなステージへ。
1959年 ヤングハズバンド報告 ソーシャルワーカーの養成・研修コースを開設して、専門性を高めるように勧告した。
1968年 シーボーム報告 地方自治体社会サービス法、地方自治体がソーシャルワークに関連した部門を統合すべきであることを勧告した。
1978年 ウォルフェンデン報告 多様なサービス供給を重視する福祉多元主義。インフォーマルな支援ネットワーク、ボランタリー組織を政策として位置づけを明確にした。
1982年 バークレイ報告 コミュニティを基盤としたカウンセリングと社会的ケア計画を統合した実践であるコミュニティソーシャルワークを提唱。
1988年 グリフィス報告 「国民保健サービスとコミュニティケア法」の基礎
1999年 第三の道 イギリス労働党のブレア政権が提唱した路線のこと。ベヴァリッジ報告から半世紀以上経った。
1973年(昭和48年)の「福祉元年」
1942年か家族療養費制度導入
1962年ホームヘルプサービスの前身ともいえる、老人家庭奉仕員派遣事業。国庫補助の対象となり、翌年老人福祉法制定とともに規定された。
1973年は『福祉元年』といわれる。田中内閣が社会保障の充実化を図った年。
この年に年金の物価スライド制・賃金スライド制の導入が、医療負担額の改定などが行われた。
70歳以上あるいは65歳以上の寝たきりの方を対象に医療費が無料化された。
1973年 5万円年金を実現した。
1976年「厚生年金」にて9万円年金が実現。
法律
「住宅セーフティーネット法」・・・住宅確保配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障碍者、子育て世帯と定められている。
社会福祉法
1951年に制定された「社会福祉事業法」から2000年、社会福祉基礎構造改革を契機に、「社会福祉法」と改称された。
社会福祉法・・・社会福祉の目的や理念、原則に関する法、福祉サービスの基盤
目的:社会福祉事業の全分野における共通的基本事項を定め、利用者の利益の保護、社会福祉、地域福祉増進。
基本理念:自立した日常生活へ向けた良質で適切な支援
提供原則:利用者の意向を十分に尊重する。
国、地方自治体責務:福祉サービスの供給体制の確保、適切な利用の推進に関する施策
定義:第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業を定めている。
地方社会福祉審議会:都道府県知事、指定都市、中核都市の長の監督に属し、諮問に答え、関係行政庁に意見を具申する機関。
委員:議会議員、社会福祉事業に従事するもの、学識経験者から都道府県知事、指定都市、中核都市の長が任命
福祉事務所・・・都道府県、市は、条例で福祉に関する事務所を設置しなければならない。
所員の定数:都道府県事務所→被保護世帯390以下6 65を増すごと1人、市の福祉事務所→被保護世帯240以下3 80人を増すごとに1
市町村地域福祉計画の策定、都道府県地域福祉支援計画の策定は、義務ではなく努力義務
社会福祉協議会・・・都道府県、市町村に設置される。
都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会を置く←苦情対応
都道府県福祉人材センターは都道府県に1か所配置される。←社会福祉事業等従事者の確保
社会福祉法に基づき、福祉人材センターは、都道府県社会福祉協議会に設置されている。
社会福祉法人・・・社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところより設立。
事業経営の準則・・・国及び地方公共団体は、責任を他の社会福祉事業を経営するものに転嫁し、財政面援助を求めない事。自主性を重んじ、不当な関与はしないこと、社会福祉事業を経営するものも同じ。
施設基準:都道府県は条例で基準を定めなければならない。
※社会福祉事業等に従事するものの確保に関する基本指針は厚生労働大臣が定めます。
※地域社会への貢献は必ずしも社会福祉法人の新たな役割として義務付けられるものではない。行政が主体となって実施する事業を代替することは含まれない。
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取組内容の例:高齢者の住まい探しの支援、障害者の継続的な就労の場の創出、子育て交流広場の設置などが挙げられる。
高齢者に関する法律
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」・・・「高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上」を目的として規定されている
「高齢者の居住の安定確保に関する法律」・・・「国土交通大臣及び厚生労働大臣は、高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定めなければならない。」と規定されている。
「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」・・・居住支援協議会の規定を行う。
「被災者生活再建支援法」・・・支援金の規定をする
外国人材の受け入れ
外国人材受入れ・共生のための総合的対応策・・・当会議では2020年を目途に「災害時外国人支援情報コーディネーター」を都道府県と指定都市に配置できるように2018年から養成研修を実施することとした。
貧困・所得格差
OECD(経済協力開発機構)における相対的貧困率は等価可所得(家計収入から税金や社会保険料を引いたもの)の中央値の50%未満の所得層が全人口に占める割合をさす。
「平成28年国民生活基礎調査」子供がいる現役世帯のうち大人一人の世帯員では、相対的貧困率は50%を超えているが、年々減少している。
社会福祉の理論
ポーガム・・・社会的降格という概念を通じて、現代の貧困の特徴を説いた。
タウンゼント.P(イギリス)・・・相対的剥奪指標の概念を精緻化することで、相対的貧困を論じた。
ピケティ・・・格差により、貧困の世代間連鎖がおきる。政府による再分配政策の重要性を強調した。
ポランニー:互酬の議論では、社会統合の一つのパターンに相互扶助関係があるとされた。再分配と交換
ラウントリー・・・ヨーク市にて貧困調査を行った。
ブース・・・ロンドン市民に対して貧困調査を行った。貧困線という概念を示した。
リスター.R・・・車輪になぞらえて、絶対的貧困・相対的貧困の二分法による論争に終止符を打つことを目指した。車輪モデル
ルイス.O(アメリカ)・・・貧困者には共通した「貧困の文化」があることを明らかにした。
ブラッドショー.J(イギリス)・・・ノーマティブ・ニード(規範的ニード)コンパラティブニード(比較ニード)フェルト・ニード(感得されたニード)エクスプレイストニード(表明されたニード)を4つを提案。
スピッカー.P・・・「貧困」の多様な意味を、「物質的状態」「経済的境遇」「社会的地位」の三つの群に整理。
ベヴァリッジ:「5巨悪」窮乏、疾病、無知、不潔、怠惰に対する福祉政策、国家には最低限度の生活水準を保障する責任がある。
ウェッブ夫妻・・・「産業民主制論」最低賃金、最長労働時間、衛生安全、義務教育の4項目からなる。ナショナルミニアムを示した。
マーシャル:シティズンシップ(市民的権利、政治的権利、社会的権利)
ティトマス:残余的福祉モデル、産業的業績達成モデル、制度的再分配モデル
エスピンーアンデルセン:脱商品化(労働から離れても生活水準を維持できるか示すもの)と階層化を指標とした福祉レジーム論、福祉国家を類型、脱家族化とは家族への依存の軽減。
ギデンズ:社会民主主義でもない、新自由主義でもない「第三の道」
ブルデュー:文化資本。親から子へ受け継がれるマナー
ホネット:社会的承認→「愛」「法」「連帯」の3つに区分して承認形式を論じている。
デュルケム:有機的連帯→個人が相互依存的な関係で結ばれている社会結合。
バージェス:円心円地帯理論→シカゴをモデルとした都市の成長過程に関する理論。
ベンサムやミル:成員の快楽の総和を最大化する社会(功利主義)
ロールズ:「社会で最も不遇な人の最大の便宜となる」ように、資源配分の是正が行われるべきと論じた。「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、正義原則に則った社会が構想されることになる。
セン:様々な生き方を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分する事が正義であると論じた。
ドイアルとゴフ:基本的ニードは人間が自己善を追求する上で妨げとなる重大な侵害を避けるために必要とするものであるため、本質的に客観的かつ普遍的であると論じた。
国内
孝橋正一:資本主義を維持するには、資本主義が生み出す矛盾の緩和、解決が必要と主張した。『社会問題』の緩和、解決。
一番ケ瀬庸子、真田是:実践論・運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならない。
竹内愛二:人間関係を基盤に駆使される専門的援助技術の体系を「専門社会事業」と呼んだ。社会福祉論の技術論の系譜に属する。
三浦文夫:貨幣的ニードと非貨幣的ニード・ニード論
木田徹郎:援助技術論(岡村理論)よりも政策論(孝橋理論)を重視すべきだと論じた
⇕
岡村重夫:環境への適応を促す。環境と個人、集団を援助、調整する考え方。
ラウントリー(Rowntree,B.S.)が実施したヨーク調査
ブースのロンドン調査、ラウントリーのヨーク調査は有名。
ブースのロンドン調査に影響を受け、貧困線の概念をより明確にして、第一次貧困、第二次貧困と分けたのがラウントリー。
貧困者自身に責任があるという考え方から、貧困を社会問題としてとらえ、社会で予防していかなければならないという考えに変化した。貧困が怠惰や努力不足の結果ではなく、社会的原因によるものという貧困観を補強する資料となっている。
相対的剥奪=タウンゼント・・・主観的な期待水準と現実的な達成水準の格差によるという考え方
子供や高齢者は他の年齢層に比べ、貧困線より下の更に深刻な貧困に陥りやすいことを発見
ラウントリーはヨーク市の食料品価格調査を行い、最低限の飲食物を買い求めるのに必要な金額を計算し、貧困線を定めた。栄養学の発達に基づいて、世帯に必要な食料費最低額の科学的算出を行った。
貧困により社会に参加できなくなる過程、社会的排除は1970年代にフランスで始まった概念
「レジーム」理論
エスピン-アンデルセンは、脱商品化と社会的階層化の指標を用いて、福祉国家を自由主義・社会民主主義・保守主義の3つのレジームに類型化した。
福祉国家・・・国家が社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じ
脱商品化・・・労働が商品化されないように、必要な時に仕事や所得を失うことなく労働から離脱できるかどうかを表したもの。要は働くことが出来なくてもどれだけ生活水準を維持できるかということ。
脱家族化・・・単身世帯かどうかに関わらず、家族に頼らず生活できるかどうかを表したもの
福祉レジームの概念・・・福祉国家を分類したもの
『正義論』
ロールズが主張した格差原理は、最も不遇な人々の期待を最大限に高めることを目的としている。
功利主義のベンサム
功利主義を唱えたベンサム・・・『最大多数個人の最大幸福』、成員の快楽の総和を最大化する社会が、最も望ましいと論じた。
功利主義・・・行為や制度の社会的望ましさは、その結果として生じる効用によって決定されるとする考え方。
センの潜在能力
潜在能力・・・人ができる様々な機能を組み合わせる事で、「財(資源)」がもつ特性が活用された状態(機能)に変換する能力」のこととした。
『様々な生き方』を選べるケイパビリティを平等に配分することが正義であると論じた。
最低賃金
特定最低賃金額とは、特定の産業について設定される最低賃金。地域別最低賃金より高く見積もられている。つまり、特定最低賃金より地域別最低賃金が上回ることはない。
地域別最低賃金とは、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払い能力を総合的に勘案して定めるもの、厚生労働大臣、都道府県労働局長が決める。
使用者は最低賃金を周知する義務がある。労働者に最低賃金より低い賃金で働かせないため。
地域別最低賃金の減額適用の特例が認められる方・・・・精神又は身体障がいなどで著しく労働能力が低い方・試の使用期間中の方・基礎的な技能などを内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省で定める方・軽易な業務に従事する方・断続的労働に従事する方
最後に・・・
ここの章はかなり難しいので、学習が必要です。ここでめげずに頑張りましょう。
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