うちの息子は、中学2年生で柔道をやっています。
この間、中学3年生にとっては最後となる選手権がありました。
チームには3年生の女の子が3人います。
そのうちの1人は、肘を骨折しようが肩を痛めようが、毎日練習に来るような子でした。
笑顔が素敵で、活発で、チームを引っ張ってくれる副キャプテン。
一方で、残りの2人はほとんど練習に来ず、来てもサボりがち。
それでも、大会には「一応チームメイト」ということでエントリーされていました。
計量という壁
大会当日。
副キャプテンの子は、「48kg級だとライバルが多すぎる」と判断して、44kg級に登録していました。
でも、育ち盛りの中学生。予想以上に体が成長していたのでしょう。
当日の計量で、まさかのオーバー。
試合に出られなくなってしまったのです。
姿を見せなかった副キャプテン
試合に出られないことがわかった後、彼女は会場にも姿を見せませんでした。
どれだけ悔しかったか、想像するだけで胸が締めつけられます。
でも、私には分かっています。
彼女こそが、チームを支えてきた存在でした。
「柔道の教え方で子どもは変わる?体感型と理屈型の指導スタイルを比較してみた」
思いがけない表彰
そんな中、普段ほとんど練習に来ないもう1人の女の子が、40kg以下級にエントリーしていました。
人数が少ない階級だったこともあり、なんと1回戦を勝ち進み、3位の表彰状までもらえたのです。
写真の中の“主役”
試合後、みんなで記念写真を撮ることに。
その写真の真ん中には、試合で勝ち、表彰状を手にしたその女の子。
この日ばかりは目をぱっちり開けて、満面の笑みを見せていました。
写真だけを見れば、彼女がチームの中心だったように見えます。
でも、現実は違うのです。
写らなかった“本当の主役”
本当に頑張っていたのは、計量に失敗して試合に出られなかった副キャプテンの子。
その子の姿は、写真のどこにも写っていませんでした。
写真は真実を映さない
この光景を見て、私は改めて思いました。
「写真は真実を映さない」
昔から感じていた感覚でもあります。
私自身、若い頃に心の中で深く悩んでいた時期がありました。
でも、当時の写真を見返すと、笑顔で行事に参加している自分が写っています。
今見ると「青春してたな」と感じるけれど、実際には必死でもがいていた毎日でした。
写真の裏にある物語
今回の出来事で、その感覚が再びよみがえりました。
写真は、その一瞬を切り取るもの。
そこに込められた努力や悔しさ、本当の物語までは写してくれません。
でも、だからこそ思うのです。
写真の裏にある物語を、誰かが語り継ぐことが大切なのだと。
コメント