アスペルガー障害は知性に問題はなく、 コミュニケーションがうまくとれない発達障害の一つです。 生まれつきのもので成長の過程で障害が現れてきます。 相手の立場に立って物事を考えられないことが、障害の本質と考えられています。 学校生活では障害に気づかれず、社会人になり職場で人間関係が密になることで 初めて障害が表面化することがあります。
これを大人のアスペルガー障害と呼んでいます。
なおアスペルガー障害は自閉症 スペクトラム障害、略して ASDの一つとして扱われる ようになりました。病院ではASDと呼ばれることが多くなっています。 世界の統計調査によると日本はアスペルガー障害の人口が多いことが知ら れています。
これはアスペルガー障害の人がたくさん 生まれるわけではなく、アスペルガー障害の人が目立ちやすい社会であるからと考えられています。
日本の学校教育では個性を伸ばすことよりも集団に溶け込むことが求められます。忖度という言葉にもあるように、社会に出たら言葉を介さずに場の空気を読むことが重視されます。これらはアスペルガー障害の人は最も苦手とすることで集団で浮いてしまうのです。
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忖度とは相手の気持ちを推し量って配慮することを言いますが、英語には同じような言葉はありません。欧米人は日本人のように言葉を介さずに場の空気を読むことは基本的にしません。
ところが、日本は忖度ができる人が出世できる社会なので、アスペルガー障害の人が世界一生きにくい国なのです。アスペルガー 障害であっても職場で天然な人と呼ばれて楽しく元気に仕事ができているならば問題はありません。
しかし、有名大学を卒業して大企業に就職し てもコミュニケーションの問題から職場と歯車がかみ合わず、せっかくの才能を伸ばせない場合もあります。
最悪の場合「失礼な人」「つかえない人」と言われて無視やいじめの対象になってしまうことも あります。
アスペルガー障害のために職場で生きづらさを感じているならば、まず自分の障害を知り、それに適した職場選びや医療的なサポートを受けるのがよいでしょう。
ここではアスペルガー障害の人が職場で どうなってしまうのかいくつかのサインを紹介します。
1.周囲を怒らせてしまう
職場で一番起きることは言動が変わっているために人を怒らせてしまうことです。あいさつができない、敬語ができない、失礼なことを平気で言ってしまう、時間を守れない、同じ失敗を繰り返す、といったことから上司や同僚を怒らせてしまいます。
例えば「時間があったらやっておいて」と上司から依頼されて翌日に「時間がなかったのでやりませんでした」と平気な顔で答えてしまいます。こうした言動は、人を馬鹿にしようとか喧嘩を売ろうとしているのではありません。自分の言葉で相手が傷つくことが理解できないため感じたことをそのまま口にしてしまう のです。
2.礼儀作法を知らない
常識的な礼儀作法ができません 。例えば挨拶ができない、お礼や謝罪を言うタイミングがおかしい、
場に似合わない服装をしてくるなどがあります。
例えば、上司が出張のお土産を渡しても黙って受け取るだけで礼を言いません。 「親に何を教わってきたんだ」と怒る上司もいますが、基本的なことは知っていても相手の気持ちが理解できないので新しい場面では応用ができないのです。
3 感覚が敏感
普通の人以上に音、光、臭いに敏感です。 これを感覚過敏と呼びます。照明や窓からの光を異常に気にすることが あります。人の出入りの多いオフィスでは仕事に集中できません。誰かが物を落として大きな音を立てたらパニックを起こすこともあり ます。
隣のデスクの女性社員の香水が気になって仕事ができません。感覚過敏のために普段から職場で耳栓やサングラス、マスクをして工夫している人もいます。
4.飲み会で浮いてしまう
飲み会では空気を読めずに話に加われなかったり、場がしらけているのに一人でしゃべっていることもあります。
自分でもグループが苦手とわかっているので飲み会は断ることが多いようです。そのために付き合いの悪い人と思われます。
5.表情に乏しい
場の雰囲気に応じて適切な表情を作れません。表情に乏しいため、いつも無表情に思われます。
普通ならば笑顔になる場面でもブスッとしているので機嫌が悪いのかと勘違いさ れます。
6.体調不良を越しやすい
体調不良を起こしやすく仕事を休みがちです。 これは責任感がないためでなく生まれつき自律神経系やホルモン系が崩れやすいのです。
緊張や無理が続いた後や女性は生理の影響も受けやすく大事な仕事で穴を開けてしまうこともあります。 天候の影響も受けやすく急な寒暖の変化、雨、雪、台風などでも不調になります。
まとめ・・・
アスペルガー障害の人はデータを扱ったり、緻密さを求められる作業が得意です。決まったスケジュールに沿って規則性があるものにはミスがありません。
仕事の種類では経理、法務、システムエンジニア、研究者、設計者には向いていると 言われています。逆に人間関係が多く、内容に変化の多い仕事には向いていません。 自分にあった職場がなかなか見つからない場合は障がい者雇用を利用するのも手です。
精神科で診断を受けて障害者手帳を作ると障がい者雇用を申請することができます。 日本はアスペルガー障害の人が生きにくい社会と言いましたが、公的な支援により 働ける場所は年々増えています。十数社を経てからようやく自分にあった職場に出会えている人もいます。
諦めなければ自分の才能を伸ばせる場所は必ず見つけられるはずです。
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